持株会(E-Ship)に関して仕組みをじっくり調べてみた

はじめに

私の所属している組織では、E-Ship(Employee Share holding incentive Plan)というものを導入しており、何年かに一度、持ち株の増加数に応じてちょっとしたお小遣いがもらえます。

この仕組みに関して、改めて調べてみたので、ここにまとめておきます。

基本的なリスクは会社が持つため、従業員は加入しない方が損?

野村信託のホームページに、わかりやすい概念図が掲載されているので、拝借しました。元ネタはこちらです。

E-Shipの概念図

会員及び、従業員持株会と記載されているものが、紛れもない私たち自身であり、ちょっと概念としてわかりづらいのですが、従持信託と書いてるのが、従業員持株会が直で株式を買い付ける相手です。

これだけはとりあえず、頭に入れた上で、以下に詳しい説明を追加します。

まず、単なる箱たる従持信託が、所属企業の信用を担保に銀行からお金を借り入れます。図の②にあたる部分で、この借り入れたお金で、E-Ship設定期間中に従業員持ち株会に売り払うと考えられる自社の株を買い付けます。図の③に当たります。ただし、図では自己株式の処分と記載されていますが、ここは市場からの買い付けになることもある様です。

この③で一括で買い付けた株式を、④で従業員持株会に時価で売却し、利益または損益を蓄積していきます。ここで発生した損益の通算がプラスであれば、従持信託は、企業の保証に対する手数料や、銀行からの貸付に対する利子などを支払います。図の⑤が当たります。

従持信託はそれでも、利益が余っていた場合に、残余財産を従業員持株会の会員で山分けします。山分けする際の割合は、従業員持ち株会員の全持株増加分における自身の持ち株増加分となります。

仮に、損益を通算した結果、損失が確定した場合は、これは従業員持株会ではなく、企業がこれを負担することになります。私の所属している組織では、今のところこれが発生したことがないので、会計上どの様な処理が発生しるのかはよくわかりませんが、従業員がこれを直接負担することもありません。

Glicoを使ったケーススタディ

Glicoのコーポレートサイトを見ていたら、どうもE-Shipを導入されている様なので、これを元に、ケーススタディをしてみようと思います。

https://www.glico.com/assets/files/「信託型従業員持株インセンティブ・プラン(E-Ship®)」の再導入について.pdf

GlicoのE-Ship概念図

こちらが、GlicoのE-Shipの概念図です。上記、野村信託のサイトとほぼ同じ形ですが、従持信託が株式を買い付けるのが、自社ではなく取引市場であるのが特徴でしょうか。それ以外は、至って標準的な形かと思います。

残余財産の処分に関しては、以下の通り記載されているため、結果損失が出たところで、やはり従業員が直接それを負担することは無い様です。

⑦ 信託終了時に信託内に残余財産がある場合には、換価処分の上、受益者適格要件を充足する者に分配 されます。

⑧信託終了時に借入が残っている場合には、2記載の保証行為に基づき、当社が弁済します。

「信託型従業員持株インセンティブ・プラン(E-Ship®)」の再導入について

さらに読み進めていくと、今回の信託期間は、2020 年 6 月 17 日~2023 年 6 月 28 日とのことです。私の所属する組織の信託期間も大体3−4年なので、これぐらいが一般的なのかもしれません。

続いて、取得の方法が以下の通り記載されています。

4.従持信託による当社株式の取得の内容

(1)取得する株式の種類: 当社普通株式

(2)株式の取得価格の総額: 696 百万円を上限とする

(3)株式の取得期間: 2020 年 7 月 1 日から 2020 年 7 月 31 日まで

(4)株式の取得方法:取引所市場より取得

「信託型従業員持株インセンティブ・プラン(E-Ship®)」の再導入について

Glicoの経営陣は、最大で6億9600万円を上限に市場から自社の株式を取得し、それを順次持株会へ払い下げることで、この間に持株会が買い付ける株式をおおよそ賄えると思っていることが伺えます。

ちなみに、2020/7の同社の株価はおよそ5,000円前後を行ったり来たりしている様なので、仮に5,000円とすると、139,200株を買い付けることとなります。

なお、Glico社は連結で5,500人弱の会社のようなので、このうちの、およそ9割の人がE-Shipに加入しているとした場合、一人当たり、およそ28株を3年間で買うことになり、年間およそ9株を平均的に買い付けている計算になります。

これが多いのか、少ないのかは、個人の判断によるところだと思いますが、私の感覚からするとだいぶ少ないなと言う印象です。

仮に、E-Shipの対象が本体の社員だけだったとすると、およそ1,500人の会社なので、その9割が加入していたとした場合、1,350人になるわけで、およそ4倍の36株を年間に買い付けている計算になります。

あまり、他人の資産とか貯蓄額とかには興味がないのですが、実はこれぐらいが一般的な金額なのかもしれません。

まとめ

  • 数年に一度、まとまった額のお小遣いをもたらせてくれるE-Shipについて、改めて真面目に調べてみました
  • 利用するしないはもちろん自身の判断ですが、株価が下落する以外の主だったデメリットはないため、私は全力で利用しています
  • E-Shipに加入するかしないか、迷っている人の判断基準になれば幸いです

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